トランプ米政権が9日午前0時1分(日本時間午後1時1分)から日本に24%の相互関税を適用すると表明し、建設業界でも懸念が広がっている。業績への影響が避けられないとみられれるのが米国輸出も多い建設機械。日本建設機械工業会は「影響は必ずある」とし調査を始めた。元請団体やゼネコンは国内市場にすぐに影響はないと見るものの、米国での受注に響くと懸念する声も多い。業界が注力してきた賃上げに水を差す恐れもある。
建機最大手のコマツは米輸出用建機を製造する工場が石川県内の各地にある。同県担当者は地域経済への影響について「情報収集しており対策はこれからだ」(商工労働部産業政策課)と身構える。
「業界が最も懸念するのは日本の景気、実体経済への悪影響だ」と話すのは元請団体の幹部だ。あるゼネコンは「ただちに国内市場に大きく影響することはなく、業績への影響は比較的軽微」としつつも、「製造業が米国投資を増やし国内生産拠点への設備投資を抑える懸念があり、顧客の投資動向を一層注視する必要がある」と指摘する。
米国での事業や受注に及ぼす影響への見方はさまざま。別のゼネコンは「資機材は現地調達を基本としているので、現地での建設コストに対する相対的な影響は小さいだろう」と予測。別の元請団体はメキシコで製造し米国に輸出する日系企業が投資意欲を低下させ、ゼネコンの受注減少につながる恐れを指摘。別の社も「中長期的には鋼材などの建設コストが増加し、発注者の投資環境にも影響が出るかもしれない」と話す。
政府も「国難とも称すべき事態」(石破茂首相)とし、関税措置の内容の精査や影響の分析などを講じる。事業者や国民生活に配慮した経済対策策定も視野に入れる。中野洋昌国土交通相は4日の閣議後会見で、国際物流をはじめ「所管分野への影響も含め精査、分析していきたい」と述べた。