建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価(レベル判定)をより多くの技能者が受けられるようにするため、新たな職業能力検定の枠組みを活用する事例が出てきた。国土交通省が既存の「土工」職種の能力評価基準を1日付で改定し、厚生労働省が団体等検定の初弾として3月認定した「コンクリート打込み・締固め工」の合格者を評価できるようにした。現状で基準が未整備の職種の技能者をすくい上げる方法として、建設業団体・企業の民間検定で同じように認定を目指す動きが広がるかどうか注目だ。
コンクリート打込み・締固め工は、日本建設躯体工事業団体連合会(日本躯体、大木勇雄会長)が実施。厚労大臣認定の社内検定として2021年度から運用していたが、厚労省が24年3月に創設した団体等検定への移行が認められた。
実施団体の会員企業の雇用労働者だけが対象の社内検定と異なり、団体等検定は会員以外にも間口が広がる。より広く受験者を受け入れる環境が整い、CCUSの能力評価基準への反映につながった。技能などが類似する「土工」職種の基準改定で対応し、レベル2の保有資格としてコンクリート打込み・締固め工2級、レベル3の保有資格として同1級を位置付けた。
日本躯体の会員各社が主に手掛ける建築分野のコンクリート工の技能者にマッチする基準が従来なかったことが課題だった。これまで土木分野が前提となっていた「土工」職種の基準に、建築分野の技能者を評価できる視点を組み入れた。とび工に比べ担い手の高齢化が著しく、若年層の入職促進が急がれる中、将来のキャリア形成の道筋が示されたことになる。
国交省は26年度までに原則すべての技能者を能力評価基準の対象にする目標を掲げる。各専門工事業の実態に応じた基準改定に加え、製造・加工現場で従事する技能者の扱い方、多能工を評価する基準づくり、職種が細分化する住宅建築分野への対応などが検討課題。団体等検定の認定を経て基準に反映した今回の事例を踏まえ、国交省はほかの職種でも同様の検討を働き掛けていく考えだ。