竹中工務店/四つの新規事業注力、現場向けIoTソリューション展開

2025年4月8日 企業・経営 [3面]

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 竹中工務店は新規事業として、「建物周辺・デジタル」「伝統文化・レガシー活用」「環境関連」「新領域」の四つに注力する。本業である建設事業とのシナジー(相乗効果)を創出し、ブランドの向上や新たな価値創造につなげる。建物周辺・デジタルでは建設現場向けIoTソリューション事業を展開。仮設資機材や人の位置情報に関する管理、部屋・部材の進捗把握などを効率化し、建設業の2024年問題の解決に貢献する。
 四つの新規事業は「竹中コーポレートレポート2025」で紹介している。建物周辺・デジタルでは、建築工事の進捗実績を部屋や部位ごとに可視化するアプリケーション「位置プラス」を開発。グループ会社の朝日興産を通じて竹中工務店を含む建設会社55社(1月末時点)に販売しサービスを提供している。今後、さらなる改良や拡大を目指す。
 同社が開発した通常の工事事務所と同様の機能が備わるトレーラー型の「オフグリッド型モバイルハウス」も活用する。ソーラーパネルや蓄電池、衛星通信を搭載しており、電気や通信インフラのない場所でも運用できる。平時や災害後など非常時の双方で役立つとみる。
 伝統文化・レガシー活用では歴史的建造物を複合施設として再生し、持続可能な地方再生モデルを構築する事業を展開中。建物を未来に継承するため、同社が建物を一括賃借して改修工事や現代のニーズを踏まえた運用にも取り組む。
 具体的には、同社とCRAFTINGJAPAN(長江一彌社長)、グッドルーム(小倉弘之社長)で構成するグループが横浜市と10年間の定期建物賃貸借契約を締結し、市認定歴史的建造物「旧第一銀行横浜支店」の運営事業に着手した。今月から改修工事に入り、9月ごろの開業を目指している。
 環境関連では、引き続き木質バイオマス発電や地熱発電といった地産地消の再生可能エネルギー事業に注力する。新領域では、PPPなど脱請負分野の取り組みを推進する。