全中建/会員の23年度離職者50代以上が48%、若年層含め対応急務

2025年4月8日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)の調査によると、2023年度の会員企業の離職者数は1244人で前年度から140人増加した。離職者の約半数を50代以上が占め、会員企業の6割が人手不足などを理由に再雇用している。ベテラン層の離職にどう対応するかが課題となっており、25年度事業計画で社員教育の充実や担い手の確保の取り組みなどの施策を強化する。
 「24年度人材確保・育成対策等に係る実態調査」は24年7~11月に実施。会員企業702社が回答した。離職の状況や担い手の確保・育成に向けた取り組みなどについて質問した。
 会員企業の離職者数を見ると、23年度は技術者が838人、技能者が406人の計1244人。年代別に見ると50代以上が597人で最も多く、全体の48%を占めた。10~20代は334人(27%)、30~40代は313人(25%)だった。
 50代以上の離職は技術者、技能者ともに約半数を占め、この中には定年退職も含まれる。50代以上を除くと、技術者の離職者は10~20代の若年層が249人で30~40代(190人)を上回る。定年退職による自然減に加え、若年層の離職対策も急務となっている。
 現在再雇用者がいるかという質問では59%が「いる」と回答。再雇用の理由では「人手不足のため」(332社)、「技術指導のため」(170社)、「担い手を育成するため」(148社)などの理由が挙がった。
 担い手の確保のために取り組んでいること(複数回答可)を質問したところ、「資格取得の支援」(535社)、「入社後の研修」(210社)、「インターンシップの開催」(185社)などの取り組みが挙がった。
 資格取得支援や安全教育、勉強会といった社員教育については71%が「実施している」と回答。残りの29%に社員教育をしていない理由を聞くと、「時間や人的な余裕がない」「教育時間の確保が困難」「教育する人材がない」などの実情が寄せられた。
 全中建は25年度事業計画に就労環境の改善や週休2日の実施などによる働き方改革の推進などを盛り込んだ。技能者の処遇改善に向けては、おおむね6%の賃金上昇を目標とする「働き方改革宣言」に基づき、賃金の引き上げと働き方改革の強化に取り組む。