大林組ら/低炭素型の高性能セメント複合材料を開発、大阪・関西万博会場に適用

2025年4月9日 企業・経営 [3面]

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 大林組と太平洋マテリアルは、低炭素型の高性能セメント複合材料「ユニバーサルクリートGX」を共同開発した。材料のセメントの一部を高炉スラグ微粉末などの産業副産物に置き換え、従来の高性能セメント複合材料と比較して、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を約50%低減。磁気を持たない特徴と耐久性を生かし、大阪・関西万博で来場者が移動に使う電気自動車(EV)バスが走るワイヤレス給電システムの道路設備に適用した。
 ユニバーサルクリートGXは、モルタルとポリプロピレン短繊維で構成。磁気を持つ素材を使用せず、繊維による補強効果により0・5%程度の引っ張りひずみでも引っ張り強度を保持する性能を持つ。一般のセメント系材料と比べ高い耐久性を実現した。
 大阪・関西万博のEVバス用道路設備にも適用。大林組は「来場者移動EVバス」事業に協賛しており、ワイヤレス給電システムの構築に向け、送電コイルの埋設工事を担当した。
 EVバスが走行しながらワイヤレス給電を実現するには、送電コイルの上面を被覆する材料が非磁性であることや、通行車両の荷重に耐えられる耐久性を持たせる必要がある。給電効率を高めるため道路表面のごく浅い位置に送電コイルを埋設。送電コイルの上面にユニバーサルクリートGXを被覆したプレキャストコイルユニットで舗装した。送電コイル上面を覆うユニバーサルクリートGXの舗装厚さは約25ミリで、通行車両の重量に耐えることができる。
 大林組は今後、ユニバーサルクリートGXの特徴を生かし、ワイヤレス給電システムの道路設備をはじめ、非磁性と耐久性が求められる分野への適用を進める。さらにセメント材料の低炭素化を推進することで、脱炭素社会の実現に貢献していく。