回転窓/楽しみなトッテン祭りの報告

2025年4月10日 論説・コラム [1面]

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 融解すると世界の海面水位が約4メートル上昇すると言われる南極のトッテン氷河。その集中海洋観測などに取り組んできた南極地域観測隊の第65次越冬隊と第66次夏隊が、6日までに全員無事に帰国した▼融解のメカニズムやもたらす影響などを明らかにするため精力的に活動し、これらの成果は海面上昇の予測技術などに生かされる。隊員は家族らとの再会を喜び、共に過ごした仲間をねぎらった▼第66次隊の活動には、観測船「しらせ」が寄港地と南極を1シーズンに2往復する「2レグ制」が初めて導入された。オーストラリアのフリーマントルに寄港したしらせは、一部の隊員を入れ替えて再び南極に向かった▼観測隊には建設会社や設備会社が技術者を隊員として引き続き派遣。日本の夜空とは上下左右さかさまのオリオン座やオーロラが見える地で、宿舎工事や設備整備などを担った▼トッテン氷河の調査は、隊員が親しみを込めて「トッテン祭り」と呼んできたそう。国立極地研究所による観測隊帰国報告会が12日午後2時からライブ配信される。SNSに届いた質問への回答もあるという報告会を楽しみにしたい。