安藤ハザマとWorldLink&Company(京都市北区、須田信也社長)は、建設現場のデジタルツインを構築するプラットフォームを開発した。点群をベースとする仮想空間で現場の変化を3Dで捉えられる。工程情報と連携することで施工の進捗率や今後の進み方を予測し、利用者に提示する施工管理支援ツールとしても活用できる。施工中の大規模造成工事で運用しており、施工管理を省人化、省力化する有効性を確認した。
デジタルツインプラットフォームを運用する大規模造成工事では、現場計測で蓄積される点群から土量の変化(出来形)を自動算出。施工実績を管理し、現在の進捗率から今後の進捗も予想する。工事の遅延が見込まれる場合、該当工種を視覚的に目立たせ職員に対応を促すなど迅速かつ的確なリスク管理に役立つ。
現場の確認や作業の打ち合わせも大幅に効率化した。所長が遠隔地から仮想空間に再現された現場を巡回することで、1回当たりの移動時間を約80%削減。毎日の打ち合わせでは元請の職員と協力会社の職長がデジタルツインで最新の現場状況を共有し、作業の調整や指示を詳細かつスムーズに行えるようになり、作業内容の理解度も向上した。手戻りや事故の防止にも貢献する。
仮想空間に施工で日々変化する現場の地形を都度反映し、自動運用型ドローンや職員が持つスマートフォンを利用した自動データ取得システムも構築。各デバイスによる計測からデータの生成、仮想空間での可視化、解析までのフローを自動化した。利用者はわずかな操作だけで手間なくデジタルツインを活用でき、進捗管理や現場確認、作業打ち合わせを実施するための計測業務を従来比で80%程度削減した。
安藤ハザマは今後、山岳トンネル工事やシールド工事などにも適用範囲を広げ、より幅広い現場で活用できる汎用(はんよう)的なデジタルツインプラットフォームに改良していく。