世界の英知が大阪の夢洲に集う--。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が13日に開幕する。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、160を超える国・地域・国際機関が参加。10月13日までの半年間、多様な文化と技術が交わる「未来社会の実験場」からさまざまな情報を発信する。会場には各国の個性あふれるパビリオンが立ち並び、空飛ぶクルマや遠隔医療、再生可能エネルギーの活用など、次代の社会を先取りする体験が来場者を待ち受ける。=3、8面に関連記事
大阪市此花区の人工島・夢洲に、多くの人々の手で形づくられた155ヘクタールに及ぶ壮大なステージが整った。パビリオンは180を超え、施設群には日本のものづくりの粋や環境配慮の思想が息づいており、建設工事に携わった人々の技術や情熱も垣間見ることができる。
中でも全周約2キロに及ぶ世界最大級の木造建築「大屋根リング」はひときわ存在感を放っている。京都の清水寺にも見られる梁、柱の接合工法「貫接合」を忠実に再現するなど、伝統的な木造建築の技術を踏襲しながら現代技術でアップデート。BIMなどデジタル技術を駆使し、品質・安全確保と大幅な工期短縮を実現した。リングの上からは六甲の山並みや瀬戸内海の景観を望むこともでき、建築物としての価値とともに来場者に豊かな体験を提供する。
大屋根リングの中心軸に位置する八つのシグネチャーパビリオンでは暮らしや医療、モビリティ、食など、未来の社会像が体感できる展示が充実。建設業と他分野の融合によって生まれた新技術やサービスにも注目が集まる。
会場内では再生材や省エネ設備を取り入れた施設も立ち並び、持続可能な社会の実現に向けたヒントが随所にちりばめられている。建設の現場が社会課題の解決とどう結び付くのか。その可能性を肌で感じることができる。
会場整備には全国から熟練の技能者が集い、過酷な条件下で総力を結集し高精度な施工を実現した。来場者はそうした技術と創意工夫の結晶も目にすることになる。
大阪府の吉村洋文知事は「更地だった夢洲に個性豊かで色とりどりのパビリオンが立ち並び、来場者がわが国の建設業界の高い技術力を肌で感じ、感動する姿が目に浮かぶ。無事に開幕を迎えられたのは建設業界のご支援とご協力のおかげだ」と話すなど、一連の万博関連工事に携わった業界関係者に称賛の声が寄せられている。