関東整備局/川俣ダムで岩盤PSアンカー65本更新、工事用道路の設計へ

2025年4月11日 工事・計画 [5面]

文字サイズ

 関東地方整備局は、栃木県日光市の川俣ダムで岩盤基礎を補強する「岩盤PSアンカー」の更新工事に着手する。堤体を支える岩盤の左右岸に計65本のアンカーを定着させてダムの安定化を図る。アンカーの最大長さは70メートルで、プレストレストコンクリート(PC)鋼より線を束ねたものを使用する。2025年度は工事用道路の設計などに着手する。37年度の事業完了を目指す。
 川俣ダムは1966年に完成したアーチ式コンクリートダム。洪水調整やかんがい用水の供給、発電などを行う多目的ダムとして約60年稼働してきた。建設時から堤体を支えている岩盤基礎の老朽化が目立つため、試験施工や大林組が工事した分を含めて現時点で59本の岩盤PSアンカーの更新を完了している。
 25年度からは露出面積の広い左岸に57本、右岸に8本の計65本のアンカーを更新する作業に入る。アンカーはPC鋼より線を七つ束ねてできた部材(テンドン)を採用する。岩盤に穴を開けてアンカーを挿入し、緊張力を与えながら補強する。最大長さは70メートルといい、現場で組み立てる。
 整備局は当初予算に95百万円を計上。左岸に設ける工事用道路の詳細設計や過去の更新工事で実施した計測データのモニタリング調査を行う予定だ。概算事業費は「数十億円規模になる」(河川部)見通し。同局管内で岩盤PSアンカーを採用しているのは同ダムと下流に位置する川治ダム(日光市)の2カ所という。