鹿島ら4者は、現場発生土材(石や砂れき)やセメント、水などを混合した材料(CSG)にJIS規格外のフライアッシュ(石炭灰)を活用した「フライアッシュCSG」を開発した。CSGの原料となる普通セメントの一部をJIS規格外フライアッシュに置き換えた。従来のCSGと同等の強度特性を確認し、成瀬ダム堤体打設工事(秋田県東成瀬村)で計7250立方メートルをダム堤体の一部に導入した。フライアッシュCSGの大規模なダム堤体への導入は国内で初めてという。
フライアッシュCSGは東北電力の協力の下、国土交通省東北地方整備局、東京大学、ダム技術センター(泊宏理事長)、鹿島で共同開発した。従来のCSGと比較すると、経時変化が小さくなるため、締め固められたCSGの密実性が向上し、同等以上の品質が確保できる。材料分離抵抗性の向上や水和熱の低減、アルカリ骨材反応の抑制といった効果を発揮する。
鹿島らは、フライアッシュCSG計7250立方メートルをダム堤体の一部に導入した。産業廃棄物として処理されるJIS規格外フライアッシュ435トンを有効利用。フライアッシュCSGと従来のCSGを活用した場合を比較すると、フライアッシュCSGの強度特性は従来のCSGと同等となり、品質は同等以上であることを確認した。
CSGの原料となる普通セメントの一部をJIS規格外フライアッシュに置き換えているため、従来CSGを使用した場合と比べ二酸化炭素(CO2)排出量を28%削減した。
4者は今後、フライアッシュCSGだけではなく、JIS規格外フライアッシュを有効利用したコンクリートを開発し、ダムなどのさまざまな構造物へ積極的に展開する。ゼロエミッションや環境負荷の少ない持続可能な循環型社会の実現に貢献していく。