建設DXを推進するArentがゼネコンらを対象にAI活用の現状を調査した結果、AIを導入している企業のうち約3割が特定の業務で活用している一方、「効果を十分に実感できていない」企業が7割に上った。AI活用の目的には「業務効率化」が最多。「人材不足」や「ノウハウの欠如」が導入の障壁となっていることも分かった。
調査は2024年7~12月、同社が登壇したセミナーや展示会に来場していた建設業界従事者を対象に実施。AIの導入状況や活用実態に関するアンケートで、有効回答数299件をまとめた。
AIの活用状況では、7・9%が「活用していて効果も実感している」、4・5%が「広範囲にわたって活用しているが効果はわからない」と回答した。32・3%は「特定業務に活用している」とし限定的な範囲で活用している企業が多い。一方、「活用方法を検討中」が45・5%と最も多く、AI導入への関心は高いものの、活用には至っていない現状がうかがえた。
AI活用に期待される効果として「業務効率化」(44・4%)が最多。次いで「データ分析」(28・9%)、「顧客への対応」(8・6%)、「新規ビジネス創出」(8・2%)と続き、業務の自動化や効率向上に期待する声が多い。AI導入の効果を聞くと、「期待した以上の効果が出ている」と回答した企業は2・6%にとどまった。「期待した効果が出ている」は25・4%だった。
一方「それほど効果は感じない」(21・2%)、「あまり効果を感じない」(8・8%)と、全体の約3割が導入効果を十分に実感できていない。「測定できていない」と回答した企業も42・0%と高く、AI導入の効果を定量的に評価する仕組みが整っていない課題が浮き彫りになった。
「ノウハウがない」(19・8%)、「人材不足」(16・6%)、「技術的な課題」(15・7%)、「データの質・量の問題」(12・7%)、「セキュリティー」(13・3%)などの課題も挙がった。
Arentは「AIの活用が進むにつれ、単なる業務効率化だけでなく、データ分析を通じた意思決定の高度化や、新たなビジネス機会の創出に活用の幅が広がる可能性があることから今後、企業がAIをより戦略的に活用するための取り組みが求められる」と考察している。