中日本高速道路会社は、イノベーション交流会で取り組んでいる技術実証のうち「規制作業現場監視における高度遠隔運用プラットフォームの構築」と「防護柵支柱点検の効率化検討」「センシングカー撮影データの精度検証」の3件を実用段階に移行することを決めた。課題はあるが効果は確認できたことから、今後は幅広く実証メニューを打ち出し、業務への導入可能性を検討しながら実用化を目指す。
規制作業現場監視における高度遠隔運用プラットフォームの構築は、将来的な監視員不足を見据え現場作業の無人化・自動化を目指す。3Dマップなどを搭載した自律走行ロボットで規制材転倒などの異常検知、位置・状態の把握、アームによる原状復帰などが実施できることを確認。煩雑な監視制御環境も一元化できた。先進技術保有企業は沖電気工業。
防護柵支柱点検の効率化検討は、走行車両による撮影データをAI解析し支柱腐食状況を事前に洗い出すことで点検の省人化、点検時間の短縮につなげる。実証では支柱135本のうち草の繁茂などで撮影できなかった5本を除き、すべての支柱でさびを検出。さびの場所の誤差も少なく、短時間で定量的な判断が可能であることを確認した。先進技術保有企業はケー・エフ・シー、イクシス、TOPPAN。
センシングカー撮影データの精度検証は、高速道路の巡回点検について、目視点検から複数のカメラ映像を活用した手法に置き換えて実施しているが、複数のカメラで撮影する際に位置情報の取得に差異が生じている。このため、カメラの位置情報を自動同期する技術を搭載した車両で走行した。その結果、トンネル内と出口周辺を除く区間で高水準の位置情報取得が可能であることを確認した。先進技術保有企業はナカシャクリエイテブ。
イノベーション交流会は、同社が抱える課題をコンソーシアム方式で解決するため2019年7月に設立された。133の企業・団体が保有する先端技術を組み合わせ、さまざまな技術実証を進めている。新規入会を検討している企業・団体向けのオンライン公募説明会を16日午後2時~4時に開催する。参加希望者は15日までに申し込むことが必要。