公共職業能力開発施設、設置数や訓練機会で地域差/建設経済研究所調査

2025年4月16日 行政・団体 [1面]

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 建設経済研究所は、職業訓練施設の設置状況に関する調査結果をまとめた。国や地方自治体の公共職業能力開発施設のうち、建設関係の職業訓練を行っているのが67%。全体的に東日本に施設が多い一方で、施設のない都道府県があり、訓練機会に地域差がある。知事認定を受けた事業主などの認定職業訓練施設も地域差が目立つ。北海道や東北は幅広い職業訓練に対応した施設が不足し、設置の必要性を強調している。
 厚生労働省の資料や訓練実績のデータなどに基づいて状況をまとめた。職業訓練施設の現状を巡る調査は珍しいという。
 調査結果によると、公共職業能力開発施設は1995年度に347施設あったが、2023年度には260施設に減少し、特に都道府県の職業能力開発校が少なくなった。260施設のうち、建設業許可業種関連の技能が習得可能な施設を抽出すると、建設関係の職業訓練を行っているのは67%に相当する175施設。北海道や東京、福岡は施設が多いのに対し、施設が少ないまたはない地域もある。全体的に東日本に多い。
 訓練内容は建築関係が土木より多く、木造建築、建築、電気、設備、住宅リフォームが上位を占める。建設業種は幅が広いものの、科目が少なく、躯体工事に特化した訓練科は見当たらなかった。
 認定職業訓練施設は17年度の1138施設が23年度には978施設に減った。施設の属性は、31%に相当する単独事業主設置の施設が最多で、次が職業訓練法人(26%)。厚労省の資料では、このうち23年度は建設関係の職業訓練を行っている施設が、全国に長期訓練で203施設、短期訓練で217施設ある。
 長期訓練の施設は北海道、岩手、愛知に多いが、少ないまたはない地域が存在する。東日本に多いことが分かった。短期訓練の施設は長期訓練と比べ設置の地域差が小さい。岩手は短期訓練の施設も多かった。
 公共職業能力開発施設、認定職業訓練施設とも西日本は少ない。富士教育訓練センター(静岡)、三田建設技能研修センター(兵庫)のように、建設関係のさまざまな職業訓練のメニューを提供している施設がある。西日本ではこうした施設への需要が高いと分析している。施設数とともに、訓練メニューや科目の地域差もあるとみられ、施設設置を巡る議論が求められそうだ。