前田建設と前田製作所は水力発電施設の導水路トンネル更新工事を効率化するため、パネル貼り付け作業を機械化する「パネルライニング台車」=写真(報道発表資料から)=を共同開発した。前田建設が施工中の現場に導入し効果や性能を確認。パネルの把持から位置合わせの作業までワンオペレーションで行うことができ、作業人員を従来比で約50%削減した。パネル取り付け時の指の挟まれといったリスクも軽減し、省力化とともに安全性も向上した。
台車はパネルの揚重や位置合わせの作業を機械化する。前田建設が2024年10月から大分県日田市で施工する水力発電所更新に関連した導水路トンネルリニューアル工事の現場に導入し、パネルの貼り付け作業で活用した。
トンネル内の安全通行や運搬経路確保に考慮した門型台車として開発。先端に取り付けた「パネル貼り付け機構」と左右の「上部ステージおよび下部ステージ」で構成する。4輪インバーター駆動式で走行し、左右駆動モーターの速度差を利用した曲線移動ができる。作業に合わせて前方張り出しも可能となる。
パネル貼り付け機構を構成するアーム部は左右旋回や水平スライド、伸縮といった操作を行うことができ、パネル把持ユニットでは回転や旋回などの操作が可能。パネルを取り付ける際の微妙な位置合わせに対応している。
今後は台車のさらなる改良を推進。前田建設と前田製作所が共同開発したポリマーセメントモルタルの自動吹き付けや左官作業まで可能な「吹付け・左官自動施工台車」とともに活用し、増大が見込まれる水力発電施設の導水路トンネルリニューアル需要に対応していく。