東北整備局/管内新規着手4事業に補助、上下水道の対策強化

2025年4月17日 行政・団体 [6面]

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 東北管内で上下水道の耐震化や豪雨災害の被害軽減に向けた取り組みが注目される中、東北地方整備局は補助事業で新規着手する4事業に総額9億4800万円を自治体に配分する。管路更新、雨水ポンプ場整備などを進める。昨今の激甚・頻発化する自然災害に備え、強靱な上下水道ネットワーク構築を目指す。
 新規の下水道事業をみると青森県鰺ケ沢町が「事業間連携下水道事業」(5億2900万円)に着手する。昨年8月の豪雨で氾濫した町内を流れる中村川で県が実施する外水氾濫対策と連携し、内水氾濫防止、軽減に向けた雨水ポンプ場を整備。25年度は上冨田、蒲生の両雨水ポンプ場の建設や測量、用地補償を進める。
 秋田県で取り組む「下水道基幹施設耐震化事業」(2億7000万円)は、男鹿市の水管橋耐震化や三種町、大館市、大仙市、横手市の管路の機能を強化する2条化を実施する。大規模地震発生時などに汚水処理への影響を減らす。
 上水道事業に関しては、宮城県名取市で東北電力の検針ネットワークを活用した「スマート水道メーター」を導入する費用に1億1900万円を充てる。東北電力の「電力スマートメーターネットワーク」を活用する共同検針で効率化を図る。秋田県能代市で「水道総合地震対策事業(重要施設配水管)」に着手。3000万円を予算化し、地震発生時に断水の恐れがある向能代地区の配水管を更新する。
 東北整備局は上下水道に関する自治体からの各種相談に応じるとともに対応が困難な場合の本省との連絡役を担う。
 このほか、上下水道関連施設では▽丸森地区大規模雨水処理施設(宮城県丸森町)▽古川流域大規模雨水処理施設(秋田市)▽大河原地区大規模雨水処理施設(福島県郡山市)▽樋の口浄水場(青森県弘前市)▽仁井田浄水場(秋田市)-の5カ所の完成を予定している。
 老朽化対策も喫緊の課題だ。今年1月には埼玉県八潮市で下水道管の破損が原因とみられる道路陥没事故が発生した。3月18日に国土交通省が下水道の幹線管路の重点調査を地方自治体に要請。「最優先」に位置付けた▽八潮市と類似の条件▽構造的に腐食しやすい、過去の調査で腐食が見つかったものの未対策▽緊急輸送道路直下で下水道起因の陥没履歴がある▽沈砂地の堆積土砂が顕著に増加した処理場やポンプ場につながる管路-のいずれかに当てはまる箇所は夏頃までの対応を求めている。