2025年度の文部科学大臣表彰(創意工夫功労者部門)を受賞した「災害対策用ネットワークカメラの改良」に対する伝達式が17日、新潟市中央区の北陸地方整備局本局で行われた。開発者の川谷勝俊阿賀野川河川事務所満願寺出張所長(開発時は北陸技術事務所防災・技術課専門官)に高松諭局長から賞状と記念のメダルが手渡された。受賞技術を使うことでこれまで約2時間かかっていた設置時間は10~20分に短縮できるという。能登半島地震、奥能登豪雨の現場でも使われ、現場映像の迅速な送信に貢献した。
高松局長は、今回の同賞同部門の受賞者は全国の整備局で4人、北陸の職員の受賞は2年ぶりなことを説明し、「受賞は職員全員にとっても励みになる。これからも努力を続けてほしい」と受賞者をたたえた。
川谷出張所長は「この技術の開発は私1人で成し遂げたものではない。多くの職員や現場で設置を担う作業員の皆さんの経験から生まれたものと認識している」と述べ、開発に関わった全員の力の結集が受賞に結び付いたと強調した。
モバイル通信回線の一種のLTE回線を利用した災害対策用のネットワークカメラは、被災状況や現場の監視、情報収集の道具として広く使われている。だが、同ネットワークカメラは、足場の悪い災害現場に合わせて単管パイプで設置用の架台を人が手作業で組み立てて設営しなければならない。単管パイプの運搬には2トントラックが必要で、現地での組み立てにも多くの労力と時間を要するという課題を抱えていた。
受賞技術は、課題を解決するため構成機器をパッケージ化して、車両からの荷下ろしや設営場所までの運搬を安全・簡単に行い設置できるよう改良を加えた。
改良したネットワークカメラは台車型と背負子(しょいこ)型の2種類で、どちらも電源にソーラーパネルを利用する。いずれも単管パイプで架台を組み立てずに現場に設置でき、機材は1500CCクラスのライトバンに収まる。
単管組み立て型のネットワークカメラの設営には7人で約2時間を要した。これに対し台車型は2人で約10分、背負子型は3人で約20分で設置できるという。