京都市は、京都駅前の再生に向けた検討に着手する。17日、「京都駅前の再生に関する有識者会議」(座長・大庭哲治京都大学経営管理大学院教授)の初会合を京都市下京区のキャンパスプラザ京都で開いた。会議では、京都駅を中心に南北が七条通~八条通、東西が堀川通~河原町通のエリアを対象に、将来像や実現に向けた方策を検討する。今後複数回の会議と市民意見募集を経て、2025年度中に提言書を取りまとめる予定。
会議は学識経験者6人で構成。エリア内の建物の更新時期などを想定し、10~20年後の将来像とその実現に向け、短期・中期的に取り組むべき方策を検討する。具体的な検討内容は▽商業・業務のさらなる集積▽沿道建物、駅前広場、道路などを活用したウオーカブルなにぎわい▽街並みの創出▽まちの魅力向上のための官民の役割分担と進め方の方向性-など。
初会合となる今回は、市の課題や京都駅前が持つポテンシャル、現状などを説明。京都駅前は「オフィスや商業施設、ホテルが集積する一方で、テナントオフィスのストックが他都市に比べて少ない」「駅前広場にはバスターミナルやタクシー乗り場などが立地し、歩行者空間が限られている」「公園や緑地などオープンスペースも不足している」などの課題を確認した。
意見交換では「駅から出て初めにあるのがバスターミナルであり、京都らしさを感じるものが他にない。京都にしかない景観をいかにつくるかが重要」「インバウンドの影響で観光客が増大している。交通ターミナルとしての機能性の向上も課題になる」「建物をすべて建て替えるこれまでの事業モデルではなく、既存のストックをうまく活用する視点も必要になる」などの意見が挙がった。
京都駅前では、日本郵便と京都駅ビル開発が京都中央郵便局と西隣のJR西日本が所有する立体駐車場を解体後、敷地を一体的に整備し複合施設1棟に建て替える「京都プロジェクト」や、市有地の活用など再開発に向けた取り組みが進んでいる。14日には、京都商工会議所の都市整備委員会が「京都駅前におけるまちづくり」に関する意見書を市に提出した。