日本建築学会(竹内徹会長)は、2025年の大賞や学会賞などを決定した。建築に関する学術・技術・芸術の発展に貢献した個人会員をたたえる大賞には名誉会員の布野修司氏(滋賀県立大学名誉教授、日本大学客員教授)と終身正会員の桝田佳寛氏(宇都宮大学名誉教授)、正会員の吉田治典氏(京都大学名誉教授)の3人が選ばれた。=12面に大賞を除く各賞の詳細
学会賞は論文部門に8件、作品部門に2件、技術部門に1件、業績部門に2件を選んだ。教育賞4件(教育業績1件、教育貢献3件)、著作賞5件、作品選奨12件、奨励賞15件、文化賞3件、作品選集新人賞16件(19人)も選出した。
大賞の布野氏は「アジアの視座からの世界住居・都市研究の飛躍的発展ならびにタウン・アーキテクトの研究・実装に関する多大な貢献」が受賞につながった。桝田氏は「鉄筋コンクリート造の品質向上と高性能化に関する一連の研究と技術普及活動による建築界への貢献」、吉田氏は「脱炭素社会に資する建築設備の理論研究の発展と実践への貢献」が高く評価された。
大賞や学会賞などの贈呈式は5月30日に東京都港区の建築会館ホールで開く通常総会後に実施する。奨励賞と作品選集新人賞の表彰式は、9月9~12日に九州大学伊都キャンパス(福岡市西区)で開く25年度日本建築学会大会に合わせて実施する予定だ。
布野 修司氏(ふの・しゅうじ)1974年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。78年東洋大学講師、84年同助教授、91年京都大学助教授、2005年滋賀県立大学教授、12年同副学長、15年同名誉教授、同年日本大学特任教授、19年同客員教授。著作に『戦後建築論ノート』など。島根県出身、75歳。
桝田 佳寛氏(ますだ・よしひろ)1975年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了、建設省(現国土交通省)建築研究所入省。90年同無機材料研究室長、95年宇都宮大学教授、2013年同名誉教授。著作に『良好な鉄筋コンクリート造建築物を造るために』など。大阪府出身、77歳。
吉田 治典氏(よしだ・はるのり)1971年京都大学大学院工学研究科修士課程修了、日建設計入社。81年京都大学助手、91年同大学院助教授、99年同大学院教授、2009年同名誉教授、同年岡山理科大学教授。著作は『環境工学教科書』(共著)など。京都府出身、79歳。