国道137号に「新たな御坂トンネル」の整備を計画する山梨県は2025年度、地質調査や明かり区間の予備設計などを進めるとともに住民説明会などで周知に努める。着工時期などは未定だが、用地買収に見通しが立った段階で想定スケジュールなども示す考えだ。現在の御坂トンネルの約100メートル低い位置に新たなトンネルを建設する計画。県は引き続き専門家などを交えて技術的課題などについての検討も続ける。
現トンネルが竣工から50年以上経過し老朽化が著しいことや、トンネル前後の急カーブ区間を含め大型化が進む物流トラックの通行を円滑化することなどが目的。県は20年3月にルート案を公表した。
路線名は国道137号。計画区間は富士河口湖町河口~笛吹市御坂町藤野木。計画延長は約5・5キロ、トンネル延長は約4・6キロ(現トンネルは延長2778メートル)。トンネル内縦勾配は1%程度。整備済み区間である富士河口湖町側の山宮トンネルから、笛吹市側のカムイ御坂スキー場入り口付近をほぼ直線で結ぶ計画。完成すると当該区間の通過所要時間が約10分から約5分に半減する見通しだ。
技術面では国道137号新たな御坂トンネル整備検討会議(座長・砂金伸治東京都立大学教授)がこれまで5回にわたり課題を整理してきた。断層破砕帯との交差・高圧・多量湧水への対応や大土被り区間対策、水文・地質調査結果などについて意見を交わし、詳細設計時の留意点などを確認している。既に明かり区間の予備設計に着手しており、県は事業の具体化を加速する。
ルート案公表時に長崎幸太郎知事は「新たなトンネルの整備で凍結や積雪による不安が軽減できる。グローバル化する物流への対応や、富士山噴火などの大規模災害時の避難路・救援路として強靱な道路の確保が期待できる」とコメントしている。