国土交通省は直轄土木工事で建設機械やコンクリートの脱炭素化を加速する。建機の燃費向上や電動化を発注者の立場で促進し、国交省が「燃費基準達成建機」と認定した型式の使用を直轄工事で2030年度をめどに原則化する。製造時のCO2排出量が多いセメントの一部を他の材料に置き換えた低炭素型コンクリートも積極的に取り入れ、調達先の現場の用途や地域を指定した上で27~30年度をめどに使用の原則化に踏み切る方針だ。
先進的に取り組む事項をまとめた「脱炭素化アクションプラン」を策定し21日公表した。公共施設の供用段階に比べ、脱炭素化の取り組みに改善の余地が大きい建設段階に着目。建機とコンクリートの脱炭素化を当面のリーディング施策に位置付けた。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)で発注者の責務に追記された「総合的に価値の高い資材など」の採用に努める規定に対応する。
低燃費建機の使用原則化は、27年度に発効する次期燃費基準値をクリアした型式の使用が前提。原則化の対象は当面、比較的普及が進む油圧ショベルに限定し、他機種にも順次拡大する。電動化に対応した建機を使用した「GX建機活用推進工事(仮称)」や、HVO(水素化処理植物油)などの次世代燃料を使用した「ゼロエミッション促進工事(仮称)」の直轄モデル工事も25年度から展開する。
低炭素型コンクリは直轄工事での試行を通じ、従来品との比較で費用対効果を確認。市場性の高さを踏まえ使用原則化に乗り出す。原則化の対象となる用途や地域の拡大、CO2排出削減割合の引き上げも追って検討。CO2を吸収・固定化するコンクリートも試行を通じ適用範囲や費用対効果を検証し、将来的な使用の原則化を見据える。
コンクリート以外にも脱炭素につながる材料や製品の開発・実装のインセンティブとなる仕組みも取り入れる。CO2削減効果を算定・評価する制度構築を前提に、脱炭素化の実績に応じ工事成績評定などで加点する措置を27~30年度にも導入する。総合評価方式による入札時のインセンティブ導入も検討する。