東北整備局/25年度事故防止目標、予定外作業・省略行動の根絶を

2025年4月22日 行政・団体 [7面]

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 東北地方整備局は2025年度の工事事故防止目標を公表した。全治1カ月以上3カ月未満の中傷事故が約半数に上る実態を重く見て、危険要因を踏まえ対策を強化。発生要因の大半を占める「予定外作業」と「省略行動」の根絶を目指す。件数が大幅に増加した「物損公衆災害」の防止など5項目を重点取り組み方針に設定し、工事事故を撲滅する。
 重点取り組み方針には▽「墜落・転落」「機械・工具など取り扱い」「建設機械」事故の危険性がある現場の対策徹底▽「予定外作業」「省略行動」の排除に向けた取り組み徹底▽新規入場者と下請業者の安全教育徹底▽物損公衆災害防止のための事前対策の徹底▽DXを活用した事故対策の取り組み推進-の5項目を掲げた。
 死亡災害につながる危険性が高い墜落・転落、機械・工具など取り扱い、建設機械について施工計画の段階で事故発生の要因を抽出し、対策を徹底する。併せて、作業手順書にない予定外作業や準備不足による省略行動をなくすため、現場ごとのルールを設定し、KY活動などにより下請作業員にも禁止事項を浸透させる。
 新規入場から1カ月以内の作業員が事故に遭うケースが3割を占める。このうち入場2週間以内が7割と高い傾向を踏まえ、新規入場者と下請業者への安全巡視を強化するとともに、具体的な危険作業の事例も伝える。
 埋設物損傷による物損公衆災害が前年度に比べ増加したことを受け対策を徹底する。発注者は地下埋設物の位置を設計図書に明示し、受注者は臨場確認などを確実に行うことで災害防止につなげる。安全性向上へDXを積極的に活用する。建設機械接近警報システムによる重機接触防止対策やウェブカメラでの監視、VR(仮想現実)技術を駆使した安全訓練、IoT機器による熱中症対策など最新の技術や機器を導入する。
 同局の事務所ごとに事故防止の目標と取り組みを定め、安全点検などを展開する。昨今の気候変動を踏まえ熱中症対策にも取り組む。
 同局管内の24年度事故発生状況(速報値)は121件と23年度に比べ28件増加した。内訳は労働災害39件(1件増)、物損公衆79件(25件増)、死傷公衆3件(2件増)で、死傷者数は39人(2人増)だった。