東京都で施設整備などを担当する部署が、4月から受発注者双方の働き方改革に向けた取り組みを一層進めている。建設局は提出不要の工事書類を追加。港湾局では情報共有システムの本格運用を始めた。両局は作業時間の削減や書類の簡略化につながる遠隔臨場にも乗りだした。生産性を高め、建設業界の人手不足の解決だけでなく担い手確保にもつなげる。
建設局は4月以降、施工計画書に必要事項を記載することで、受注者による「材料搬入予定調書」の提出を不要にした。施工計画書には工事で使う材料の品名、形状寸法、数量、品質検査方法などの記入を求める。遠隔臨場による材料検査の立ち会いも可能にした。
搬入した材料にJISマークが表示されている場合、同マークと認証番号が分かる写真を受注者が提示すれば、材料検査関連書類の提出や検査の立ち会いが省ける。
港湾局は1日から情報共有システムの運用を本格化。受発注者などで情報を交換・共有するシステムで、書類が電子で確認できる。「現場代理人及び主任技術者等通知書」や「前払金請求書」など複数の書類の電子化を進めている。
従来は受注者が情報共有システムの利用を希望した場合に適用していた。4月からは原則▽土木工事▽港湾工事▽土木設備工事▽建築工事▽建築設備工事-で利用する。これら以外の工事や設計、測量などでも積極的に活用する方針だ。
情報共有システムを巡っては、財務局も2024年11月以降に起工する案件に本格導入した。対象は同局発注の建築工事と設備工事、土木工事。特記仕様書に「情報共有システム活用工事」と表記している。
工事現場のさらなる環境改善に向け、港湾局は「工事現場環境改善実施要領」を4月に策定した。全ての工事を対象にウイークリースタンスや、即日対応を基本とするワンデーレスポンスに取り組む。加えて、発注者は過度な書類作成依頼を控え、受注者は仕様書などで定めていない書類を作成しないことを徹底する。
遠隔臨場も建設局と港湾局で4月に本格導入した。土木・建築工事のほか、土木・建築設備工事、地質調査委託などに適用。港湾局ではこれらに加え、港湾・空港土木工事にも採用する。受発注者がウエアラブルカメラなどで撮影した現場の映像と音声を基に、監督員らが施工状況を確認する。
建設局ではICT活用工事の対象も拡大。「小規模土工」「橋梁上部工」「橋台・橋脚工」を追加した。4月以降に起工し、公告する案件に適用している。