埼玉県八潮市の県道で発生した陥没事故をきっかけに、全国で再発防止に向けた取り組みが始まった。道路管理者と地下埋設物の管理者が一堂に会し、情報共有を図る「地下占用物連絡会議」が22日の埼玉県を皮切りにスタート=写真。初会合では国土交通省関東地方整備局と埼玉県、県内63市町村、占用事業者らが道路の老朽化対策や会議の進め方などを議論した。目に見えない老朽インフラの対策が急がれる。
地下占用物連絡会議は国交省が設置した有識者会議の議論を踏まえ、都道府県単位で開催している道路メンテナンス会議の傘下組織に位置付ける。占用事業者が行う埋設物の点検結果と、道路管理者による道路下にある空洞調査の結果などを共有。関係機関が連携して事故の未然防止に努める。
全国に先駆け、さいたま市北区の関東整備局大宮国道事務所で開いた会議には県内市町村や高速道路会社を含む道路管理者約68者、地下占用事業者約158者が出席。ウェブを併用しながら意見交換した。
会議の会長を務める中洲啓太大宮国道事務所長は「地下埋設物については、老朽化が起因して八潮市や国道4号で陥没事故が発生するなど対策が急務となっている。八潮市の事案を繰り返さないためにも活発な議論をお願いしたい」と述べた。その後の説明では22年度時点の道路陥没の発生件数を明示。陥没の多くが都市部で発生し、直轄国道や政令市では原因の約3割が道路占用物件に起因していたことを報告した。
次回会合は7月ごろを予定する。それまでに道路管理者が本年度の空洞箇所の調査計画と調査結果を、占用事業者が占用物件の点検計画と調査結果といった情報を共有する。管路の損傷箇所と空洞箇所が同一か隣接する場合の対応方法なども協議する考え。
八潮市で発生した陥没事故から間もなく3カ月。現場では安否不明となっている運転手の救出作業が進んでいる。国交省は有識者の提言を踏まえ、1994年以降に設置された管径2メートル以上の下水道管約5000キロを特別重点調査に指定。管理者に1年以内の調査実施を要請している。