清水建設は、溶接ロボットの機能を大幅に改良した。原型タイプで6軸をベースとしているアームを7軸に見直し作業範囲を拡大。溶接技能者と同様のトーチ動作を可能にし、品質チェックで技能者との協業もできるようにした。溶接能力は1時間当たり10~12メートル。1日当たりの溶接作業量は改良前に比べ10%超増大する。今後は早期に同社施工の現場で活用していく。
改良版「Robo-Welder」として開発、実用化。東京都内の大規模複合施設現場で実証した。
原形タイプと同様、開先形状(溶接部)のセンシング機能と溶接トーチを搭載した6軸のロボットアームをベースとする。新たにロボットアームを旋回式台座(ピボット型台座)に据えて7軸化し作業範囲を倍増。大断面の鉄骨柱に対しても柱の両側に1台ずつ設置することで、設置替えすることなく全周溶接できる。
ロボットアームを改良し、熟練の溶接技能者に近いトーチ動作も実現。溶接線を対称軸にしたトーチの反復(ウィービング)移動スムーズ化や溶接点に対するトーチの角度調整を可能にした。トーチの移動速度やワイヤ(溶接材料)の送り出し速度を自動制御できるようにし、ボックス柱のコーナー部や反対側に設置した溶接ロボットとの継ぎ目部分(会合部)について溶接品質も確実に確保できるようにした。
手持ち時間が多くなる溶接技能者とロボットの協業体制も確立。技能者が溶接作業に欠かせない品質チェックとスラグの除去作業を担うことにより、ロボットとの協業による生産性向上や品質確保といった効果を最大限引き出せる。
溶接技能者1人でロボット2台の操作が可能。1日当たりの溶接作業量は技能者1人当たりの1・75倍に向上する。習熟すると「技能者1人・ロボット4台体制」が可能になる。