下請法改正案が衆院通過/建設業法と有機的な連携体制構築

2025年4月25日 行政・団体 [2面]

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 政府が国会に提出した下請法・下請振興法の改正案が一部修正を加えた形で24日の衆院本会議で可決し、参院に送付された。2026年の春闘を見据えた中小企業の賃上げ原資の確保につなげるため、公布から1年以内としていた施行期日を「26年1月1日」に修正した。建設業法で規制されるため下請法が適用除外となる建設工事の下請取引について、審議中に政府から「それぞれの法律を有機的に連携して運用していく体制を取っていきたい」(古谷一之公正取引委員会委員長)との答弁があった。
 改正案では主な規定として、下請との価格協議を適切に行わず一方的に代金額を決定する行為を禁じる。下請からの協議要請に応じなかったり、協議で必要な説明や情報の提供をしなかったりする行為が指導対象となる。支払い手段として手形の利用も禁止する。電子記録債権やファクタリングも支払い期日まで満額の現金化が困難であれば認めない。
 改正案を審議した衆院経済産業委員会では、公取委が下請法違反事案への指導・勧告を強める中、建設工事だけを下請法の適用除外とすることを疑問視する議員がいた。建設業法では国交省や都道府県が独占禁止法の「優越的地位の乱用」に該当する行為について公取委に「措置請求」できる規定があるが、これを適用した実績が過去に一度もないことも指摘された。
 古谷委員長は答弁の中で、下請法と建設業法について「取引を適正化するという点で同じ考え方。それぞれの役割を分担しながら規制している」と前置きしつつ、改正案では公取委と各事業所管省庁が連携し取引適正化を目指す方向が示されていると説明。「建設業法を国交省が運用する中で、問題があれば独禁法の優越的地位の乱用規制につなげてもらう措置請求も、連携する中で今後活用していく」と話した。
 建設業者による下請取引でも、設計図の作製を委託する場合や、工事に使用する建設資材の製造を委託する場合は下請法が適用されるケースがある。国会審議では建設業者が行う除雪作業についても、発注者から委託を受けた事業者が作業の一部などを建設業者に委託した場合、下請法の適用対象となり得るとした。