近畿整備局、阪神国際港湾会社/RTGに水素エンジン、神戸港で世界初の実証実験

2025年4月25日 行政・団体 [8面]

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 近畿地方整備局と阪神国際港湾会社は4月、カーボンニュートラルポート(CNP)の形成に向けて、世界初となる港湾荷役機械への水素エンジンの導入実証を神戸港で開始した。RTG(タイヤ式門型クレーン)のディーゼル発電機を水素発電機に取り換え、水素を燃料とすることで発電時の二酸化炭素(CO2)排出量を抑える。24日に現地の稼働実証状況が報道関係者に公開された。
 事業名は「阪神港における荷役機械高度化実証事業」。実証場所はポートアイランド第2期地区にある神戸国際コンテナターミナル(KICT、神戸市中央区港島9)のPC15~17バース。近畿整備局から阪神国際港湾が事業を受託し、ターミナル事業者や水素供給者、RTGメーカーなど民間事業者5者が参画している。2023年度に机上検討、24年度に機材調達など準備を進めてきた。
 現地実証では、将来的な水素利用を想定し22年度に導入していた新型RTGを採用。水素は運搬トレーラーから水素ステーションに移し、RTGに据え付けた水素タンクに充填する。水素発電機でRTGが稼働し、従来のディーゼルエンジンと同様に荷繰り作業を行う。
 近畿整備局港湾空港部の一瀬輪子港湾高度利用調整官は「神戸港は港湾管理者の神戸市や民間事業者による水素利活用の取り組みが豊富で、今回の実証にマッチしていた。CNPの推進に向けて実証結果を水平展開したい」と話した。
 6月末まで現地実証を行った後、データ分析を進め、25年度中に本省でまとめる水素燃料荷役機械のガイドライン案に反映させる。
 事業費は23~25年度の3カ年で約7億5000万円。