全国建設業協会(全建、今井雅則会長)は、建設業に従事する女性の増加を目指す5カ年計画(2025~29年度)を策定した。国土交通省と建設業団体が共同で策定した女性活躍・定着促進に向けた新たな実行計画をベースに、全建独自の計画として女性が働きやすい職場環境の整備や女性の定着に向けた建協単位の取り組み促進などを盛り込んだ。23日に都内で開いた理事会で決定した。
「地域建設業における女性活躍・定着促進に向けたロードマップ」は、全建が20年度に策定した計画の後継計画。会員企業の女性技術者・技能者の人数を毎年増やすことや離職の防止、都道府県建設業協会での女性部会の設立や女性活躍促進活動への参画などを目標に定めた。
目標達成に向けた取り組みでは、フレックスタイム制やテレワークの導入といった柔軟な働き方ができる職場環境の整備、女性の活躍・定着促進に関する好事例の共有、現場の意識改革などを盛り込んだ。働き方改革として「適正工期見積もり運動」や「建設現場土日一斉閉所運動」といった全建の従来の取り組みも推進するとした。
前計画(20~24年度)の取り組み結果を見ると、ほとんどの年度で女性の入職者数が離職者数を上回った。入職者数と、定年退職などを含む離職者数を年度ごとに比較したところ、入職者数に占める離職者数の割合は20年度88%、21年度98%、22年度108%、23年80%となり、おおむね100%を下回った。
都道府県建設業協会の女性部会の設立と「建設産業女性定着支援ネットワーク」への加入の状況を見ると、24年12月時点で女性部会を設立したのは32建協(20年度比16建協増)、ネットワークに加入したのは25建協(14建協増)だった。
理事会では24年度事業報告も承認した。事業報告には国や地方自治体の契約で予定価格が少額の場合に選択できる「少額随意契約」の上限について、物価上昇を踏まえて引き上げを要望したことを盛り込んだ。25年度からは少額随意契約の基準が予定価格250万円以下から400万円以下に見直されている。