いであが熱赤外線カメラを搭載したドローンを、海岸保全施設の点検や干潟の環境調査に利用している。撮影した画像を使って熱赤外線モザイク画像を作成。温度差によって堤体内の空洞を発見し、漏水箇所も特定できる。生物の生息状況などの調査にも応用可能だ。データ解析技術の改良や、DX技術と組み合わせなどで生産性向上のツールとして活用していく。
海岸を保全する堤防や護岸は、被覆工のひび割れで堤体に空洞が生じ、破損につながることがある。空洞などの点検は調査員が目視で行っているが、高齢化などによる人員不足が顕在化してきている。こうした課題を解決するため、同社は堤体の空洞上部の部材で温度差が生じる特性に目を付け、温度を平面的に感知できる熱赤外線カメラを利用して空洞を把握する技術を開発した。
ドローンに熱赤外線カメラを搭載。光学センサーと熱赤外線センサーを活用して位置情報付きの画像を取得する。画像処理ソフトウエアで画像のゆがみ補正や合成を行う。その上で、ケルビン温度値(K)やセ氏温度値(℃)の熱赤外線モザイク画像を作成する。
空洞箇所の推定に活用する場合、朝と昼の表面温度の差を確認することで、空洞箇所を絞り込める。こうした情報を基、削孔による空洞の計測などが必要になる箇所を選定でき、作業効率が高まる。地面との温度差を測ると、漏水箇所の推定が可能になる。
干潟の環境調査にも熱赤外線モザイク画像を活用できる。干潟生物の生息状況に影響を与える表層泥の温度を、短時間で広範囲に計測。より的確に干潟の環境が把握できる。