和歌山県は南紀白浜空港(熊野白浜リゾート空港、白浜町)の滑走路延伸に向けた施設整備計画の具体化に乗り出す。2025年度当初予算に基本計画策定業務委託費など44百万円を計上しており、早期に業務発注手続きに入る予定だ。24年度に実施した事業可能性検討業務(日本工営が担当)の結果、滑走路延伸は「技術的に可能」との結論が出ていた。最短で30年度の国庫補助採択を目指す。
同空港の利用促進に向けて、周辺の観光活性化と並行し、滑走路延伸の準備を進める。国庫補助を受けるためには、採択の目安とされる年間利用者数50万人を段階的に目指す必要がある。年間利用者数は、24年度速報値によると過去最高の23万5543人を記録。29年度までに30万人、羽田直行便を現在の1日3往復6便から4往復8便に増便したい考えだ。
構想によると、航空機の大型化に対応できるよう現状2000メートルの滑走路を2500メートルに延伸する。県は毎年2万人ずつの利用者増加を目指すが、現在の滑走路の延長では、大型航空機の発着ができない。国際線では搭載する燃料が多くなり、重量の関係で乗客数が制限されるなどの課題もある。
基本計画策定業務では、環境影響評価(環境アセス)や、地域住民の意見を生かす「パブリック・インボルブメント」(PI)の進め方を定める。運航空域調査など運用面の調査に基づき、滑走路延伸方向や進入灯橋梁など空港施設の配置、進入出発方式も決定。延伸方向は丘陵地帯が広がる北西側などを候補に検討する。
29年度までに予備設計を行い、国庫補助の決定後に詳細設計に着手する。
現在の南紀白浜空港は、旧空港の隣接地に1996年3月に開港。2000年度に延長1800メートルだった滑走路を2000メートルに延伸している。