埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け対策を議論している国土交通省の有識者検討会は、第2次提言を近くまとめる。24日に東京都内で第5回会合を開き、提言の骨子案を議論。事故原因が下水道管の破損と見られるため、下水道の現状に対する国民理解の醸成と、不確実性を前提にしたインフラマネジメント体制への転換を提案。社会的影響を考慮した点検の優先順位付け、管路の複線化や処理区の細分化など維持管理を容易にする施設構造への見直しなどを提言する。
骨子案では下水道の在り方の「基本的な考え方」を提示。これまで行政側に地下空間の不確実さを国民に十分認識してもらう努力が不足していたとの反省に立ち、国民の理解を醸成するとともに、今後は不確実性を前提としたインフラマネジメントに方針転換すべきとした。
点検の在り方については、限られた予算や人員の中で行うため「重大な社会的影響の回避」を念頭に、優先順位を付けて実施すべきとした。管路損傷の発生しやすさと、社会的影響の大きさの二つを軸に、整備からの時間経過も考慮し重点的な点検対象を決める。
施工方法や構造に応じた定量的な判定基準や、明確な健全性の診断基準を設ける必要性も指摘。点検結果のデータベース化や、国による技術的な自治体支援の拡充なども求めた。
下水道の管路や施設自体の構造をより点検、改築しやすいものに見直すことを提案した。管路の複線化や他の処理区との連絡管路の整備、ポンプ場などに簡易処理施設を追加し処理区を細分化するなど水位低下を可能にする方策を列挙。これらを複数組み合わせてリダンダンシー(冗長性)を確保すべきとした。万一の事故発生を想定し、下水道の維持管理者や建設会社との連携体制の構築も求めた。
提言を議論する「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」(委員長・家田仁政策研究大学院大学特別教授)は、5月にも次回会合を開き、第1次提言で求めた全国特別重点調査の途中経過の報告も聞き取り、第2次提言を議論する。第2次提言は今春早期にも国交省に提出する予定だ。