ソフトベンダーのイベントに続き、公的機関などが主催するイベントも相次いでいる。講演内容とともに、加速化するBIM普及の兆候も報告する。
□事例発表会の聴講者の多くが施工BIMも軌道に乗りつつあるとの感触を強めたに違いない□
10月14日の「施工BIM事例発表会2016」。本稿第126回で概説した日本建設業連合会刊行の増補版『施工BIMのスタイル事例集2016』=写真=に掲載されている事例の関係者が講演した。合計14社が登壇し、講演タイトルも多岐にわたるなど、聴講者の多くが施工BIM運用も軌道に乗りつつあるとの感触を強めたはずだ。増補版の問い合わせ先は日建連建築部(電話03・3551・1118)。公式サイト(刊行物・資料)から購入申し込みとPDFファイルのダウンロードができる。
□建設会社13社+専門工事会社1社が登壇+施工BIM運用を通して実現したQCDSEを報告□
▽「特殊構造事務所ビルでの取り組み」=安藤ハザマ ▽「ある美術館におけるBIMデータの施工利用」=大林組 ▽「鉄骨・設備工事のBIM活用-はじめての施工BIM」=奥村組 ▽「大規模・超短期工事における施工BIM」=鹿島 ▽「複合施設での施工BIM」=熊谷組 ▽「医療施設での活用事例紹介」=鴻池組 ▽「建設現場におけるBIM」=清水建設 ▽「曲面金属屋根工事でのBIM」=大成建設 ▽「鉄骨・設備のBIMモデル合意」=竹中工務店 ▽「初施工BIM『某物流プロジェクト』」=東急建設 ▽「生産施設における施工BIM」=戸田建設 ▽「超高層建築におけるBIMの活用」=フジタ ▽「ホール天井のBIMモデル合意」=前田建設 ▽「昇降機設備における施工BIMの現状」=東芝エレベータ
東芝エレベータは、質疑応答時の回答で、建設会社からのBIM協働への問い合わせが急増しており、直接、作業所長からの連絡もあると報告した。本稿第41~43での取材から約2年、他社に先駆けたBIM実践の成果が実を結びつつある。
会場からの「2次元CAD普及と比較してBIMはいつ頃…」との質問に登壇者は(遠慮がちに)「3年から5年?」と回答した。記者席近くに座った若い女性は「今でしょ!」。女性の姿はわずかだ。セミナー参加には有給休暇を取らざるを得ないこともあるそうだ。それにも関わらず参加した意思と「今でしょ」との現状認識に賛同したい。
□東京(22日)・大阪(25日)で「施工BIMのインパクト-生産性向上への挑戦」を開催□
専門工事業者とのBIM協働に関するセミナー「施工BIMのインパクト」が11月22日に東京総合美容専門学校マルチホール(東京都豊島区)で、25日に大阪市立住まい情報センターホール(大阪市北区)で開催される。検索キーワード「施工BIMのインパクト」での当該申込サイトから応募できる。
□会場の熱気を通してBIMは確かに離陸し巡航高度に向かって一段と加速しているのを実感□
10月26日には、Archi Future事務局主催の「Archi Future2016」が開催された。事務局はメルマガで「来場者数は史上最高の4527人で、前回比で8%強の増加となった」と発表した。
世界的に著名な英国の設計事務所Foster+PartnersのFrancis Aish氏の「フォスター事務所が考える建築設計の未来とコンピュテーショナル・デザイン」。大量の模型を創ることで知られているが、それらフィジカルなモデル=模型とデジタル(BIM)なモデルとの融合を試みる、デジタルとアナログとの関係への検証事例など、数々の興味深い講演が行われた。
参加したセミナーは全て満席で、ベンダーの展示ブースには人だかりもできるなど、前年とは趣を異にする熱気を感じた。BIMは確かに離陸し、巡航高度に向かって一段と加速している。
(毎週木曜日掲載)〈アーキネットジャパン事務局〉