今年も7月1日から第90回全国安全週間がスタートした。産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と、安全意識の定着を図ることを目的に、昭和3年から90年間、一度も中断することなく続けられてきた。
今年のスローガンは「組織で進める安全管理 みんなで取り組む安全活動 未来へつなげよう安全文化」。現場作業員から経営者まで、全社が一体となった合理的で実効性のある災害防止に取り組むことが重要だ。
近年の災害発生数は減少傾向で、昨年の死亡事故数は過去最少を更新したものの、労働災害全体では横ばい傾向が続いている。さらに、現場技術者・技能者の高齢化、経験の浅い若年の増加、工事量増加による繁忙化により、事故発生数の増加が懸念されている。また、温暖化による熱中症増加やヒアリなど昆虫にかまれたことによるアナフィラキシーショックなど新しい災害の発生も危惧されている。
事故防止、リスク低減に取り組むためには、経営から現場までが一体となった「論理的な安全衛生管理」が不可欠だ。経験や勘に頼るのではなく、危険箇所や危険行動をお互いに言い合える風通しの良い職場環境が求められている。きめ細かいコミュニケーションと改善と検証のPDCAサイクルを回すことこそ、災害ゼロに向けてまい進する車の両輪となる。
働き方改革の掛け声のもと、国はさまざまな施策を打ち出している。労働時間の抑制や生産性向上と合わせて、安全文化の醸成がなければ、担い手確保はおぼつかない。全国安全週間を機に、今一度、基本に立ち返った安全活動への取り組みが求められている。